もっと自己紹介
今は昔、僕のヒストリーは紫式部が生存していた時代にまで遡る。
彼女はとてもヒステリックだった。ちなみにあの時代の言葉を使って言うのならば、「ものぐるほしけれ」だと思う。教科書に遺された紫式部、あれは偽り。彼女は藤原家オタクだった。
ある日しき(紫式部)に無理やり藤原家潜入に加担させられた。
公式に沿った作品を書く為に致し方ないとのこと。
見つかれば即首を取られる。現代語で言うとオフヘされる。
あまりの恐怖でひよった僕は、
震え上がり藤原家の家臣に見つかり、即刻オフヘされた。
最後、ぐるりと目の前の景色が回る中で
彼女の声だけが耳に入ってきた。
「壁になりけれ」
気づいたら現代で生を受けていた。
過去の記憶を思い出したのは中学生で
かなり美化されたしきの姿を見た時だ。
そしてあの日彼女が叫んだ言葉を思い出す。
「壁になりけれ」
彼女の言葉がどうも頭から離れない。
あの言葉の本質とは一体なんだったのだろうか。
あの日、あの時彼女は一体何を伝えようとしていたのか。
今僕は令和時代を生きる。
推しカプの作品描くことを酸素に心臓を動かし血を巡らせる。
生きている限り、それを止めることは出来ない。
そして、ふと気づいた。
僕は、彼女と同じ道を歩いているのではないだろうか。
ネタが無ければベッドにひれ伏せ、周りの作品に踊らされ、
そう、今なら…。
僕はそっと壁によりかかり、深く深呼吸をした。
目を瞑ると何故かそこは虚無の空間だった。
閉じた瞼に映るのは、推しと推しの戯れ。
僕はその日、初めて推しの部屋の壁になった。