自己紹介

【非公式】1934年(山形県酒田)-1992年(埼玉県三郷)|小説に『密約』『黄色い娼婦』『雪女』など|評伝に高橋光子『「雪女」伝説』http://t.co/QoTrl8IhO2|短縮は「…」、補足箇所は「〔〕」で示し、短縮・補足を施した投稿には*印を付しました。現在登録ツイート総数256。ときどき年表ツイートあり。

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2013.8.31 初稿
2014.1.25 改訂


森万紀子という作家を知っていますか?



「単独者」「密約」「距離」(以上『密約』(1970)所収)「黄色い娼婦」(『黄色い娼婦』(1971))の四作で立て続けに芥川賞の候補となりながらも落選、大きな受賞歴としては書き下ろし長編『雪女』(1980)で泉鏡花文学賞ただひとつを得たのみで、1992年には埼玉県三郷の団地の一室で亡くなっているのがみつかったそうです。

生前はそれなりに読まれていた作家であるらしいことが、高橋光子氏による評伝『「雪女」伝説――謎の作家・森万紀子』(1995)や大庭みな子「森万紀子さんのこと」(1992)などによる回顧からわかります。しかしながら、いまや森万紀子の名前はほとんど忘れ去られていると言って良いでしょう。このページをご覧になっているなかに森万紀子のことをご存知の方がいらしたとしても、やはり「芥川賞候補作家」のひとりとしてしかこの作家を知らないのではないでしょうか。



bot作成者は、森万紀子という作家の「再発見」を後押ししたいと考えています。

森万紀子は戦後日本の作家のなかでもきわめて特異な作風の持ち主です。森万紀子は「女性作家」ですが、botを作成した2010年代現在、「女性作家」と言われたときに連想されるのは、「感覚的」な文体であったり、親きょうだいや恋人などといった「人間関係における(女性としての)私」を主題にしたものであったりするでしょう。これにたいし森万紀子は、世に言う「女性作家」らのそれとは一線を画すような特徴を有した作品をものしてきたのです。森の記述は、写実的に事物を鮮やかに描出するよりも、また心の襞を的確な言葉で表現することよりも、ある観念の現出をただひたすらに目指して荒々しく突き進む、抽象性の高いものなのです。

また、森の作品――特に初期の作品――には、たとえば作品の題名にもなっている「単独者」、エッセイで頻出する「存在の裸型」など、一読しただけでは意味あいを捉えかねるような観念的な用語――キルケゴールやサルトル、カミュといった、実存主義哲学の著作群におけるような――がしばしば登場します。さらに森は、自身の小説においては社会性や政治性にたいして暴力的なまでに超然たる態度を貫き通そうとする主人公を造型しながらも、自身は小説家としてみずからの生きた時代を強く意識していたようです。それはいくつかのエッセイ・談話からありありと窺い知ることができます。



観念的で、反社会的。その裏返しとしてか、社会や人間関係にたいして向けられた、過敏なまでに強い意識。それでいて、みずからつくりだした虚構に遊ぶような、いわゆる「少女趣味」のような甘さはない。むしろ視野狭窄的な、強迫的な、あまりに苦い自意識がある。私の知る限りでは、こうした作風を持った「女性作家」は、森万紀子ただひとりなのではないか。そう思われてならないのです。



だからこそ、この人の作品を甦らせたい。

どうぞよろしくお願いします。





最後にひとつお断りを。

このbotはあくまで非公式なものです。bot作成者はいかなる権利も持ちあわせていません。Twitter側からなにかしら勧告があれば、作成者はこのbotを即時削除する心積もりでいます。


ちなみに……森万紀子botがフォローしているのは、森がみずからのエッセイやインタビューで影響を受けたと公言している作家たち、そして同時代の批評のなかで類比されることがあった作家たちのbotです。bot作成者もまだまだ影響関係や時代の文脈を追いきれていないところがあります。ご教示ご指摘などいただければ幸いです。


※書誌情報について
書誌情報収集は、主として山形県立図書館文献目録人物編 森万紀子 http://e-library.gprime.jp/lib_pref_yamagata/dfp.view_data.form?data=%2F%E4%BA%BA%E7%89%A9%E7%B7%A8%2F%E3%81%BE%E8%A1%8C%2F0000000011-200608310957292&viewer=dfp&sortKey=%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%8A&sortOrder=true&sortItemType=text&searchterm=&permissionTerm=&detailterm=&searchCategory=%2F%E4%BA%BA%E7%89%A9%E7%B7%A8%2F%E3%81%BE%E8%A1%8C&selectCategory=&currentPage=1&pageSize=20&template=&tempList= を参考に、国立国会図書館サーチ(NDL Search) http://iss.ndl.go.jp/ を用いて行ないました。
森の書誌情報についてはまだまだ不明な部分が多いので、これまた資料などをご教示いただければ幸甚です。


※作成者について
@minoriyoshinaka です。ご指摘などあればこちらまで。

日付データ

プロフ更新日2014/01/25 22:06 プロフ作成日2013/08/31 12:02
API更新日2024/11/23 03:29 API更新予定2024/11/23 04:29