もっと自己紹介
自分は起立性調節障害の元患者です。
このアカウントは、かつて闘病中に日記として日々を記録していたものです。
現在は闘病時のことや受けていた治療のことなど自分の経験からお話できる情報を共有させていただいてます。
1人の患者の闘病の記録として、少しでも何かの参考になれば幸いです。
何か質問などございましたらお気軽にリプライやDMからご連絡ください。
また、起立性調節障害とはどのような病気なのかページの一番下にまとめてありますので、よければそちらもご覧ください。
〈 発症と完治までの経緯 〉
中学校に入学して1ヶ月ほど経った5月頃から体調に異変が起き始めましたが、まだこの時点では大した症状ではなかったため部活の朝練や環境の変化による疲れだろうと思い特に気にしていませんでした。
しかしそれからまた1ヶ月後の6月のある朝、いつも通り学校へ行く支度をしていた時に突然めまいを感じてその場に倒れてしまい、何が起きたのか自分でも理解できないまま病院に行き、その日のうちに耳鼻科で起立性調節障害と診断されました。
この時の症状は5月に感じていた異変とは比べ物にならない程に酷くなっており、この日を境に学校には文字通り全く行けなくなってしまいました。
僕の当時の主な症状は
・めまい
・立ちくらみ
・頭痛
・腹痛
・動悸
・倦怠感
・吐き気
・食欲不振
・昼夜逆転
・気分の沈み
・記憶力、集中力の低下
などです。
中1と中2では始業式などを除いて学校には1日も行くことができず、始業式には起きることができないため眠らずに行っていたりしました。
学校行事もギリギリ発症する前に行われた1年生の体育祭と、後に体調が少し回復する3年生での修学旅行以外は参加することができず、学校は好きだったのでとても辛かったのを覚えています。
発症当時は恐らく重症なほうで、午後になると自律神経の影響で比較的体調が回復するこの病気の特徴が見られないほど1日中めまいや倦怠感が酷く、布団から起き上がることもできませんでした。
そのうち食欲も減っていき、酷い時には1日通して米1粒も食べれないような日もあって体重は1ヶ月で8キロほど痩せてしまいました。
ちなみにこの頃は病院から処方されていた血圧を上げる薬を服用していました。
人によってはこれである程度の症状が改善する方もいるようですが、僕は飲み続けても体調が回復するどころか血圧すら大して上がらなかったので、ほとんど効果を感じることができませんでした。
また当時は昼夜逆転が特に酷く、夕方の16時頃にようやく目が覚めて、そこから体調が悪いまま眠ることもできずに朝を迎え、午前8時頃にやっと眠りにつけるという生活を1年ほど送っていました。
朝になると同じ学校の人たちが窓越しに見えたのですが、それを眺めた後に眠る罪悪感は相当なものでした。
当然ながら中学生のメンタルがそんな日々に耐えられるわけもなく、この頃はかなり精神的に参っていました。
眠れないのに布団にいても辛いので、時間を潰すために夜中は録画した映画を見たりゲームをしたりしていましたが、あのとき初めて今まで大好きだったゲームが全く楽しくないと感じました。
何より罪悪感に押し潰されそうだった。
徐々にではなくある日を境に突然こんな生活に叩き落とされたため、誇張なしで本当に気がおかしくなりそうでした。
思い出しただけで恐ろしいです。
この時期には病院から精神安定剤や睡眠導入剤を処方されるようになりましたがこれらもほとんど効果を感じることができず、それどころか薬との因果関係は不明ですが飲み始めてから幻覚のようなものが見えるようになってしまい、次第に怖くなって飲むのをやめてしまいました。
睡眠導入剤に関しては時々眠れることもありましたが、眠らされている感じがしてむしろ疲れが溜まったり、眠りすぎてしまったりと、これもやはりあまり良い印象がありません。
医者ですら正しくこの病気を認知している人は少ないようで、いくつもの病院をたらい回しにされた挙句「精神科に行ってくれ」など心無い言葉をかけられることもありました。
他にも鍼治療や整体など、この病気に良いと聞いたものはいくつも試しましたが結局どれも大した効果は得られませんでした。
そんな発症から1年が経った中2の6月頃に、大阪の『小西統合医療内科』という病院に出会いました。
そこでは採血をして体内の状態を詳細に検査し、体に不足しているものを特定してサプリメントにより補うことで自己治癒力を高めたり体の機能を整えるという栄養療法を行っていて、僕は東京に住んでいて直接通うことができないため最初の一度だけ病院へ行き、その後はサプリメントを送ってもらう形で治療をしていくことになりました。
サプリメントは薬ではなく食品に近いものなので効果が出るまでには時間がかかりましたが、その代わりに得られた効果は非常に大きく、治療開始から1年後の中3からは体調が改善され始め週に1回程のペースで午後から登校できるようになりました。
今まで飲んでいた薬とは違い副作用もなく、体調が改善されていることが自分でも実感することができたので安心して続けることができました。
あれだけ苦しんでいた昼夜逆転に関しては、この病院で処方された「メラトニン」という睡眠ホルモンのサプリメントを飲み始めたその初日から効果を実感することができ、なんとその日から23時頃には眠れるようになってしまいました。
メラトニンは体の中に元から存在するホルモンのため、睡眠導入剤のように眠らされている感じがしたり眠り過ぎてしまうようなこともなく自然な眠りにつくことができたので、あの時は久々のその感覚に本当に感動した記憶があります。
他にもその病院で以下の病を診断され、1年かけて治療を行いました。
・睡眠障害
・副腎疲労症候群
→副腎という臓器が慢性的なストレスによって機能を失い、抗ストレスホルモンの分泌が悪くなることでストレスに対処しづらくなってしまう。その結果、慢性疲労などに繋がることもある。
・腸管壁浸漏症候群
→慢性的なストレスや食生活などにより腸に穴が空き、栄養をしっかり摂取できなかったり腸内環境が悪化する。これが原因で慢性疲労や副腎疲労にも繋がることがある。
リーキーガット症候群とも言う。
・重金属アレルギー
→水銀や鉛などの重金属と呼ばれる体に有害な物質が蓄積し、様々な不調をきたす。
恐らく腸管壁浸漏症候群の影響もあって重金属が体内に蓄積してしまったと思われる。
これら全ての治療が終わる頃には、起立性調節障害の症状はほとんど見られなくなっていました。
起立性調節障害の患者は僕のように腸内環境やいくつか他の要因が重なって体調不良をきたしていることが多いようです。
発症してからはほとんど学校に行くことができず、授業には3年間で両手で数えられるほどしか出れなかったものの、自宅で教科書と問題集を使って独学で勉強を進めていたため2年分の遅れもなんとか半年で取り戻し、第一志望だった単位制の公立高校に無事合格することができました。
治療の効果と単位制というシステムのおかげで高校では皆勤賞を貰うほどに体調も回復し、今では起立性調節障害はほぼ完治したと言えると思います。
とは言え、現在でも気圧の変化に体調が左右されることは時々ありますが、ほとんど日常生活に支障はありません。
ただ、僕が今の生活を送れているのは間違いなくこの病院と治療に出会えたおかげなので、個人的には本当に感謝してもしきれない気持ちではあるのですが、もちろん全ての人がこの治療法で完治するという保証はありませんし、この治療は保険適用外ということもあるため一概にお勧めするつもりはありません。
あくまでも治療の一例としてご理解ください。
母子家庭ということもあり病気になってから母には金銭的にも精神的にもたくさん迷惑をかけましたが、今こうして元気に過ごすことができて心から感謝しています。
この病気は症状が目に見えるわけではないため、傍から見るとどうしても怠けや精神的な問題だと捉えられてしまう理解のされづらい病気です。
ですが治療をしていく上では周囲の理解とサポートが鍵になりますので、少しずつ理解していただけるとありがたいです。
症状やその重さ、そしてそれらが改善される方法まで本当に個人差が大きい病気ですので、今読んでいただいた僕の症状はあくまでも数ある例の1つであり、様々な患者がいるということ、そしてその誰もが同じ苦しみを抱えているということをぜひ知っていただきたいです。
起きれないことや寝れないことも病気のせいなので、どうか無理に起こしたり、起きれないことで責めたりしないであげてください。
そしてどうか、病気であることを忘れないであげてください。
長くなりましたが以上になります。少しでもこれらの情報が何かのお役に立てれば幸いです。
治療や病院のことなど含め、ご興味のある方には詳しくお話させていただきますのでお気軽にメッセージをどうぞ。
また、この病気の関係者の方には必ずフォローをお返し致しますので、フォローが返っておらずメッセージが送れない場合はお手数ですが一度リプライなどからご連絡ください。
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【〜起立性調節障害について〜】
起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation)は自律神経のバランスが崩れることにより発症する自律神経失調症の1つで、特に思春期の中高生に多いとされている。英語名の頭文字をとってODとも呼ばれる。
症状は多岐に渡り、発症に至る原因も様々なため個人差が非常に大きい病気である。
今のところ明確な治療法はないとされているが、成長に伴って症状も落ち着いていくことが多い。
そもそも自律神経とは、内臓や血管などの働きをコントロールし、体内の環境を整える重要な役割を担う神経で、自律神経には主に起きている時や活動する時に優位になる交感神経と、主に寝ている時やリラックスしている時に優位になる副交感神経がある。
人は起立時に重力によって血液が下に落ちるが、交感神経の働きにより心臓へ血液が戻る。
しかし起立性調節障害の患者は自律神経が乱れているためその機能がうまく働かず、心臓へ戻る血液が少なくなることで血圧低下や立ちくらみなどの様々な症状を引き起こす。
また、朝に起きづらいことや夜になかなか寝付けないことも交感神経と副交感神経の働きが乱れ、逆転してしまっていることが原因である。
本来は日中に交感神経が優位になることで人は活動的になり、夜は副交感神経が優位になることで眠りにつくことができるが、起立性調節障害の患者は夜に交感神経が優位になってしまうことで眠りにつけず、逆に日中に副交感神経が優位になってしまうことで起きることができなかったり倦怠感などの様々な体調不良が生じてしまう。
夜になるにつれて交感神経が優位になってしまうため、起立性調節障害の患者の多くが夜にかけて少しずつ体調が楽になっていくのはこのためである。
症状の個人差が大きいことや、その症状の分かりづらさから友達や教師、毎日過ごしている家族すらもサボリや怠けと捉えてしまうことが多いため理解されづらい病気とされている。
体の病気ではあるが、自律神経が原因のためストレスに敏感であり、それにより悪化するケースも多いことから精神的な病気と間違えられることも少なくない。
これらのストレスに加え、周りと同じ学生生活ができないことに苦しみ別の病を併発することもある。
症状やその重さも患者によって異なるため理解しづらい病気ではあるが、治療をしていく上では周囲の理解が必要不可欠である。