自己紹介

@hinabitter 体は脂肪で出来ている。血潮は鉛で心は豆腐。幾たびの休暇を乗り越えて睡眠。ただ一度の外出もなく、ただ一度の後悔もない。篭り手はここに独り、布団の上でスマホを打つ。ならばこの生涯に意味は不要ず。その体は、無限の脂肪で出来ていた。

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ある日ゲームセンターで不思議な男の子と出会った。
彼はビートマニアをプレーしていた、でもそんな彼は手の動かし方がちょっと不思議だった。
本物のDJのような手の動かし方で、皿曲はとても上手だ。
でも彼は六段だった。彼はとても鍵盤が苦手で、皿曲は上手くても鍵盤曲は上手くできない。

そんな彼を観察するのが楽しかった。
七段を受けて、落ちて悔しがる彼、☆11にランプをつけて喜ぶ彼。
特に彼は"灼熱Beach Side Bunny"をプレーしているときはすごく楽しそうな顔をしていた。

そんな彼がある日わたしに話しかけてきた。

「よかったら一緒にビートマニアやりませんか?」

わたしは嬉しかった、でも不安だった。
何故ならわたしはビートマニアがそれほど得意ではないからだ。
むしろ苦手な方である。
でも彼はそんなわたしを受け容れてくれた。

「僕もビートマニアそんなに上手くないから(笑」

そう声を掛けてくれた。その言葉でわたしの不安が少し薄れたような気がした。
それからゲームセンターで会った時は一緒にビートマニアをプレーしていた。




しかし、ある日彼はゲームセンターから姿を消してしまった。




わたしは彼が来るのを待って毎日ゲームセンターに通った。
毎日ゲームセンターに通ってはビートマニアをプレーして彼を待ち続けていた。
しかし彼は現れない。
そんな生活が2年を過ぎようとしていた。



わたしは毎日ゲームセンターに通っていた。

彼がまた現れる日を待ち続けて。

わたしはビートマニアをプレーし続けるうちに実力を着けていき、今では☆12フォルダにフルコンランプが付き、全ての曲がAAAである。
ある日ふと、目にしたポスターに興味を惹かれた。
"KAC"
つまりコナミアーケードチャンピオンシップのことである。
わたしは考えた、その舞台にわたしが立ってそこそこ有名になれば、どこかにいる彼に気がついてもらえるかもしれない。


わたしはそれからスコアを徹底的に詰めていき見事、
KACへの挑戦権を手にしたのである。


ーーーーKAC当日ーーーー
わたしは緊張していた。とても酷く緊張していた。
当たり前である。常連組の中に無名の新人が1人ポツンと居るからだ。
大会なんてものは、もしかしたら初めて出るかもしれない。

大会慣れしてないわたしはちゃんと実力を出せるであろうか?
みんなの前で下手くそなプレーをして笑われたりしないだろうか?
そんなことを思っていたら心が不安でいっぱいになって、会場全員の視線がとても怖くなった。
今すぐここから逃げ出したい思いでいっぱいだった。

そんな中1人だけわたしに声を掛けてくれたトップランカーがいた。


「緊張しなくて大丈夫だよ、僕もそんなにビートマニア上手くないから(笑」



わたしの前に現れたのは、
突然ゲームセンターから姿を消した彼であった。
実は彼もKACに出場していたのだ。

わたしはイスをひっくり返す勢いで立ち上がり目から涙が溢れそうになりながら彼に問い詰めた。

「どうしてわたしになにも言わないでいなくなったりしたの!」

彼は突然わたしに怒鳴りつけられて驚いた表情をした、それからニッコリしてから優しい声で答えた。

「ごめんね、実はあの日引っ越す前日だったんだ。でも君とのプレーが楽しくて、打ち明けられなかったんだ。」と

わたしは怒るに怒れなくなった。

仕方ないと思えた、そしてなんだか嬉しくなった。


彼が声をかけてくれたお陰で、
わたしは緊張が解れ、予選を勝ち抜けた。



ーーーーKAC決勝戦ーーーー
予選を勝ち抜いたのは私と彼、他に2人。

でもわたしも彼も、優勝など気にしていなかった。
彼と一緒に競い合える。彼とまた一緒にビートマニアをプレーできる、その気持ちで心がいっぱいだった。
わたしたちはギャラリーを忘れて楽しんでいた。
そして3曲目が終わった得点の順位、彼は2位、わたしはなんと1位。
得点差は17点
そして4曲目はわたしの選んだ曲。
敢えて、わたしはこの曲を選んだ、彼がとても楽しそうな顔をしてプレーしていた曲。

"灼熱Beach Side Bunny"

わたしと彼の一騎打ち。

わたしは負けられない気持ちと、楽しい気持ちで心がいっぱいだった。

ーーー表彰式ーーー

わたしは彼に負けてしまった。やはり彼は皿が得意なのは変わっていなかった。
その独特なプレースタイルで会場を湧かせ見事1位となった。


彼は言った。
「君のおかげで優勝することができた。君がいなかったらビートマニアを続けていなかっただろうし、君と競い合えたことで自分を高められた。ありがとう。」

号泣していた。

彼はわたしと真剣に闘えたこと、わたしに勝てたことに泣いていた。

彼の泣き顔が少し面白くて吹き出しそうになってしまった。


わたしは悔しい気持ちでいっぱいだった。
しかし嬉しかった。
彼と闘えたこと、彼に近づけたこと、彼とまた会えたこと。

わたしは彼に言った。
今度はわたしの番。







「また一緒に、ビートマニアやりませんか?」










ーーーKAC結果発表ーーー
1位:彼 合計スコア 11503
2位:わたし 合計スコア 11499

パーソナル

苦手なものタグ

日付データ

プロフ更新日2015/07/28 14:39 プロフ作成日2012/01/15 21:05
API更新日2023/07/19 00:59 API更新予定2023/07/19 01:59