▼最近のボット更新状況
共犯と身分,錯誤(11ヶ)
https://twitlonger.com/show/n_1ss6gsk 2022年11月29日
強盗罪の拡張・過重類型(7ヶ)
https://twitlonger.com/show/n_1ss69vk 2022年11月20日
窃盗罪-窃取等(6ヶ)
https://tl.gd/n_1ss0ihf 2022年4月4日
目次は下段に掲載しています。↓
計411
▼以下,時系列で,ツイート掲載(刑法の法典名省略)
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2023年7月2日
◇債務履行の一時猶予
刑法411/ 債務の履行や弁済の一時猶予も財産上の利益にあたるが,2項詐欺成立要件たる「財産上の利益を得た」というには,。即ち,債務履行の一時免除により,債権の財産的価値が減少したなど,。
[山口『刑法各論』2版(2010年)249頁-250頁参照]
2023年5月21日
◇住居と,邸宅,建造物との要件の違い
刑法410/ 住居とは,,邸宅とは,住居の用に供する目的で作られた建物及び付属する囲繞地をいい,建造物とは,住居,邸宅以外の建物及び付属する囲繞地をいう。住居は人の管理する場所たること当然だが,邸宅,建造物は「」が要件。
[『設題解説 刑法(一)』(1990年)68頁参照]
◇「侵入」行為にあたるか(130条前段)ーー住居等に立ち入る場合とスーパーマーケット等に立ち入る場合の違い
刑法408/ 窃盗目的での住居立入りは,,窃盗の準備行為的性質を有し,。⇔一般公衆が自由に出入りできる店舗への立入りは,,万引きの準備行為的性質を認められない。
[『設題解説 刑法(一)』(1990年)72頁-73頁参照]
◇窃盗罪の実行の着手ーー住家に対する忍び込み窃盗とスーパーマーケットにおける万引き
刑法409/ 。⇒店舗への立入り自体には窃盗の準備的行為としての色彩が薄く,商品類を物色する段階に至り初めて準備的行為としての性質を見いだせる。財物の占有形態の違いに従い窃盗の着手時期も異なる。
[『設題解説 刑法(一)』(1990年)78頁,79頁参照]
2023年4月29日
◇中止未遂の必要的減免の理由(政策プラス責任減少の二元説)
刑法407/ 中止未遂の必要的減免については,「後戻りのための黄金の橋」という刑事政策的考慮と,自己の行為の価値を否定する規範意識が責任を減少させるという観点から,二元的に考えるべき。⇒教唆・幇助の場合,制限従属説から,違法性は減少せず,責任を個別的に考慮。⇒一身専属的効果。規定を知らずとも適用可。
[『設題解説 刑法(一)』(1990年)21頁,19頁,17頁参照]
2023年2月12日
〇共犯と錯誤ーー暴行,傷害を共謀した共同正犯者の1人が未必の殺意をもって被害者を刺殺した場合
刑法405/ 暴力団組長X,組員Yら7名は,組の資金源の1つであるスタンド・バーの風俗営業に関し巡査Aらが強硬な立入調査をしたことに憤慨し,,派出所前で,Aに罵声・怒声を浴びせ,応答したAの言動に激高したYが,。
刑法406/ →殺人罪と傷害致死罪とは,殺意の有無という主観的な面に差異あるだけで,その余の犯罪構成要件要素は同一だから,暴行,傷害を共謀した被告人らのうちYが未必の故意をもって殺人罪を犯した本件では,殺意のなかった7名に,両罪の共同正犯の構成要件が重なり合う限度で軽い傷害致死罪の共同正犯が成立する。
[『刑法判例百選Ⅰ』7版(2014年)〔90〕最決昭54・4・13刑集33-3-179参照]
刑法67/ →Aが殺人の意思,Bが傷害の意思で,被害者に共同し傷害を加え,被害者が死亡した場合,,Aに殺人罪の共同正犯,Bに(死亡につき過失ある場合)傷害致死罪の共同正犯が成立する(行為共同説)。
[山口『刑法総論』3版364頁(最決昭54・4・13刑集33-3-179)参照。行為共同説による共同正犯者間の錯誤の取扱い]
☆共犯と錯誤ーー住居侵入窃盗の教唆と隣家への侵入強盗
刑法404/ Xは,生活に窮していたYに,A方の構造や付近の地形などを図示し,住居侵入窃盗を教唆したが,Yと,Zら3名は,B方の母屋に入れず断念し,Zら3名は犯意を継続し,隣家のB電気店に押入り,強盗を行なった。Yは外で待っていた。Xが教唆したのはA方への侵入窃盗であり,B方への侵入窃盗に問われるべきでないとし上告。
[『刑法判例百選Ⅰ』7版(2014年)〔89〕最判昭25・7・11刑集4-7-1261参照。,必ずしも犯人の認識事実と,発生事実とが,具体的に一致(符号)することを要せず,両者が犯罪の類型(定型)の範囲において一致することを以て足る。]
刑法154/ →正犯が実現した構成要件該当事実が共犯の認識・予見したものより重い場合,たとえば,窃盗教唆したところ,正犯は強盗を行った場合,。したがって,上記の例では,窃盗の共犯成立。
[山口『刑法総論』3版363頁(最判昭25・7・11刑集4-7-1261)参照]
2022年11月26日
☆ホテトル嬢客刺殺事件
/ ホテトル嬢Xは,客Aから殴打され,ナイフで一突きされて脅され,異常なわいせつ行為を執拗に強要され続け,耐えきれず,Aの放置したナイフでAの腹部を1回突き刺し,ドアの方に逃げたが,Aともみ合いになり,ナイフでAの大腿部などを数回刺し,失血により死亡させた。?
[『判例プラクティス刑法Ⅰ』(2010年)〔215〕東京高判昭63・6・9参照。本件の状況下..凄惨な死をもって報いることが相当であるとは認め難く,Xの本件行為は,前後を通じ全体として社会通念上防衛行為としてやむことをえないといえる範囲を逸脱し,防衛の程度を超えたものである..。]
2022年11月19日
☆事後強盗罪の既遂・未遂の区別
刑法403/ (判例)。事後強盗罪の財産犯としての性格の表れであり,また,先行する窃盗は,単にその犯人が事後強盗罪の主体とされているだけの意味を有するのではなく,それこそが事後強盗罪の重要な構成要素であるという理解である。
[山口『刑法各論』2版(2010年)229頁(最判昭24・7・9刑集3-8-1188など)参照]
2022年11月7日
☆死者の占有
刑法401/ 死者の占有を認め,物の奪取につき盗取罪(窃盗罪,強盗罪)の成立を肯定しうるか争われる。問題となる事例としては,①当初から財物を奪取する意思で人を殺害した後の財物奪取,②,③殺人とは無関係の第三者が,死体から財物を奪取する場合,が挙げられる。
刑法402/ →判例:①強盗殺人罪,③遺失物横領罪。②につき,被害者が生前有していた財物の所持はその死亡直後でもなお継続して保護するのが法の目的にかなうとして,窃盗罪成立を肯定。なお,Vを居住する部屋で殺害し,5日~10日後に財物を持ち去った事案,9時間後の事案,で占有否定,4日後の事案に肯定した裁判例あり。
[山口『刑法各論』2版(2010年)182頁(①大判大2・10・21刑録19-982,③大判大13・3・28新聞2247-22,②最判昭41・4・8刑集20-4-207他,新潟地判昭60・7・2刑月17-7=8-663,東京地判昭37・12・3判時323-33,東京高判昭39・6・8高刑集17-5-446)参照]
2022年10月25日
☆財物を一時置き忘れた場合
刑法399/ バスに乗るために行列していたVがバスを待つ間に写真機を脇に置き,列移動につれて改札口に進んだが,写真機を置き忘れたことに気が付き(約5分,約20m),直ちに引き返した事案。駅出札所の指定券窓口で特急券を買った際,財布を置き,乗車券窓口で乗車券購入後に置き忘れに気が付き戻った(1,2分,約15m)事案。
刑法400/ →財物との場所的離隔or置き忘れた時点からの時間的離隔が僅かであることから,,財物に対する支配たる占有を肯定可。支配の事実的可能性から,占有者の支配力の及ぶ場所にあるといえ,占有の事実も占有の意思も認められる。
[山口『刑法各論』2版(2010年)179頁(最判昭32・11・8刑集11-12-3061:「その物がなお占有者の支配内にあるというを得るかは否かは通常人ならば何人も首肯するであろうところの社会通念によって決する外はない。」,東京公判昭54・4・12刑月11-4-277)参照]
2022年10月25日
〇財物の財産的価値
刑法398/ 判例は,一般論として,,金銭的or経済的価値あるか問わない。
価値を問題とするとしても,所有者・管理者の主観的価値,,逆にメモ1枚,ちり紙1枚など,。
[山口『刑法各論』2版(2010年)175頁(最判昭25・8・29刑集4-9-1585他)参照]
◇被害者の反抗が現実には抑圧されなかったとき
刑法397/ 判例は,。but,強盗罪は,暴行・脅迫により被害者の反抗が抑圧され,財物奪取されるという因果経過を要件とすべき。∵それにより,交付罪たる恐喝罪と盗取罪たる強盗罪の区別が可能となるから。
刑法110/ →,判例は強盗既遂とする。しかし,強盗罪は,暴行・脅迫により被害者の反抗が抑圧されて,財物が奪取されるという因果経過必要。∵交付罪たる恐喝罪との区別。この場合,。
[山口『刑法各論』2版(2010年)217頁(最判昭24・2・8刑集3-2-75)参照。一般に被害者の反抗を抑圧するに足る程度の暴行・脅迫が用いられたが,被害者の反抗が抑圧されずに,財物移転が生じた場合,⇒強盗未遂と恐喝既遂の観念的競合。現在の実務も同じ運用。]
2022年10月19日
☆機密資料の持ち出し
/ ㈱A社B工場の製造部工務部技術課副部員であったXは,複数回,会社の機密資料を持ち出し,その原本or複製を社外のブローカーYを介し他者に売却or売却しようとした。業務上横領罪,背任・同未遂罪? 背任罪:課長らが管理し,X自ら直接管理する立場にない機密資料を複製,売却する意図で無断で持ち出しなどした。
[『判例プラクティス 刑法Ⅱ』(2012年)〔362〕神戸地判昭56・3・27判時1012-35参照。各資料を担当事務処理のために入手したものではなく,保管秘匿の任務もなく,担当事務の処理として社外に持出し処分した訳でもない。。事務処理としての所為でない。]
▼目次,原稿
Ⅰ①刑法序論,因果関係(14ヶ)
https://tl.gd/n_1srs76f
Ⅰ②正犯性,間接正犯(10ヶ)
https://tl.gd/n_1sru7t8 2022年1月12日
Ⅰ③不作為犯(13ヶ)
https://tl.gd/n_1sru7tg 2022年1月12日
Ⅱ①違法性総説 (2ヶ)
Ⅱ②侵害の急迫性(11ヶ)
Ⅱ③自招侵害,防衛するため,やむを得ずにした行為(16ヶ)
Ⅲ①責任総説(3ヶ)
Ⅲ②故意など(16ヶ,故意の認識対象,認識内容,故意と過失の違い,ほか)
Ⅲ③事実の錯誤(17ヶ)
Ⅲ④過失(13ヶ)
Ⅲ⑤違法の意識とその錯誤(12ヶ)
Ⅲ⑥責任能力ほか(4ヶ)
Ⅳ①未遂犯 (12ヶ)
Ⅳ②不能犯(8ヶ)
Ⅳ③中止未遂 (1ヶ)
Ⅴ①共犯の因果性(10ヶ)
Ⅴ②教唆・幇助の従属性(7ヶ)
Ⅴ③共同正犯の共同性(11ヶ)
Ⅴ④共犯類型(10ヶ)
Ⅴ⑤共謀罪(5ヶ)
Ⅵ①共犯と身分,錯誤(11ヶ)
https://twitlonger.com/show/n_1ss6gsk 2022年11月29日
Ⅵ②片面的共犯,承継的共犯(10ヶ)
Ⅵ③共犯の離脱ほか(9ヶ)
Ⅶ 罪数,他 (7ヶ)
Ⅷ①生命に関する罪(16ヶ)
https://tl.gd/n_1srr94o
Ⅷ②身体に対する罪(14ヶ)
https://tl.gd/n_1srr941
Ⅷ③自由に対する罪(7ヶ)
https://tl.gd/n_1srrekp
Ⅷ④名誉に対する罪(9ヶ)
https://tl.gd/n_1srrhq9
Ⅷ⑤信用・業務に対する罪(7ヶ)
https://tl.gd/n_1srri1k
Ⅸ①窃盗罪-財物,占有(23ヶ)
https://twitlonger.com/show/n_1ss60hh 2022年11月7日
Ⅸ②窃盗罪-窃取等(6ヶ)
https://tl.gd/n_1ss0ihf 2022年4月4日
Ⅸ③強盗罪(9ヶ)
https://tl.gd/n_1ss1q7l 2022年5月26日
Ⅸ④強盗罪の拡張・加重類型(7ヶ)
https://twitlonger.com/show/n_1ss69vk 2022年11月20日
Ⅹ①詐欺罪,恐喝罪 (16ヶ)
Ⅹ②横領罪の客体・占有ほか(10ヶ)
Ⅹ③横領行為,他の横領罪(10ヶ)
Ⅹ④背任罪ほか(9ヶ)
Ⅺ①社会的法益に対する罪 (17ヶ)
Ⅺ②国家的法益に対する罪 (18ヶ)
▼文献
山口厚『刑法総論』3版(2016年),『刑法各論』2版(2010年),平野龍一『刑法』(1977年),『判例プラクティス刑法』Ⅰ,Ⅱ,『刑法判例百選』Ⅰ,Ⅱ,『重要判例解説』,『ポケット六法』,法務省サイト