なー @読書・絵・写真・言の葉
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ヒト科/ほのぼのまったり属/何とか生きてる類/読書/絵/写真/詩やミニ小説/フォロワ数ふえたけど~気楽にやって自然に繋がってるだけだよ~趣味のあう方は気楽にどうぞ~読書!絵!写真!詩!フォロー歓迎!フォロバしま~す <※ 画像等は 自作発言や二次配布すべからず ※個人使用なら、常識範囲内で使用自由、保存もOK>
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イワデス国のお話をここに上げていこうかと思います。
けっこう長い文章を書き込めるのね~ここ
第三話はちょい長い話になりまして4つに分けてのせていきますね~
イワデス国の物語 第三話
<サ・ツ・ア・ン>(①②③④)の①
イワデス国の王子二人は、どちらも優秀である。
どちらが国王になっても適任だが、自然当然お国の常識で、第一王子のケンドリックが次の国王と目されている。
そして自然当然お国の常識で、王宮の中で権力者が二派に分かれ、第二王子のウォンローを国王に立てようという動きもあったりする。
「ふふふふ殿下、ひとつサ・ツ・ア・ンでもして国王になりませんか」
「やあドスグロ大臣。それはどういう計画なの?」
「この毒をふふふふしてふふふふをふふふふするということです。殿下が国王になったあかつきには、ぜひ私に良き地位と報酬を。」
「いい話のようだけど、僕べつにそうまで王様になりたくないからいいや」
「いや王子が二人以上いたら、血で血を洗う王位の奪い合いがあるべきでしょう。常識ですよ。普通はそうですよ。みんなが言ってますよ。」
「テストに出なかったなあ。でもみんなが言ってるならそういうものかなあ。」
「そうですよさあさあさあ、ふふふふ」
ウォンロー王子は声を潜めてみる
「ここじゃなんだから場所を変えて話そうか」
「ふふふふそうこなくちゃ」
「…」「どうしたの大臣〜続きは?」
国王の玉座の前に場を移したところ、なぜか黙り込む大臣。
ウォンローが、さっきまで話してた事を国王にサクサク報告すると、国王はこの大臣をさっさとクビにしてくれた。いろいろ言い訳してたけど、かわいそうに国王には通じなかった。
王子は澄まし顔で心の中ではクックックのク〜と笑う。
自然当然お国の常識で、王宮の中のあれこれは、ここで働く女達のお喋りのネタである。
ことに若いメイド達なんぞは、王子様の話が大大の大好き。
可愛らしいメイド服に身をつつんだ二人、ミドリとモモはそれぞれケン派とウォン派。掃除をしながら熱く語り合っていた。
「やっぱ美しいケン様よケン様」「えーでも付き合ったらウォン様のほうが楽しいと思うよ〜」
「あんた付き合える気でいるの」
「セーカクがお茶目で楽しいって言ってるだけでしょう」
「それにしてもウォン様って自分が王様になりたいって思ってないのかな?」
「こないだもそそのかしてきた大臣をチョチョイのチョイしてポイだったらしいよ。ぷぷぷぷ良いセーカク」
「王子様が二人以上いたら、王位の奪い合いがあるのが常識なのにね。」
「ケン様と争う様子ぜんぜん無いよね。もしなんかあれば私達の王宮内諜報組織「UWASA」にかからないはずないし〜」
「ウォンロー!」「兄上!」
気配を察し顔を見合わせる王子二人の頭上の木から、黒ずくめの数人が襲いかかる。
ギィン キャキキキイン ザッ カシュン
受けて流して身をかわして反転して当て身を食らわせつつ反対からかかってきたヤツを斬り伏せる。
ビシッ カカカン ガッシ キン ズシャ
小石を弾いて目潰しかけつつ剣を受けながら下がりフェイントかけて体を入れ替え剣の柄を背骨に叩き込む。
黒ずくめ達は撤退する。
翌日、「ウォンロー!」「兄上!」
高齢者の「まだまだ元気に生きるぜ集会」にゲストに招かれた帰り、通り道の崖の上から石が降ってきた。
小石の瓦礫に混じって当たったら即死レベルの大きいものもほどよくブレンドされていて、避けるのがなかなか難しい。
二人とも、スーパー俊敏な身のこなしで避けつつ、互いに危ない石を防ぎ合って事なきを得る。
そしてまた、「ウォンロー!」「兄上!」
野菜嫌いの子を持つ母親達が主催する「野菜を美味しく料理して食べさせる会」に一般の若者達と参加した帰り、通り道の野菜畑で作物の間から矢が降り注ぐ。
野生動物も顔負けの素早さで矢を躱しまくり、数本のそれは、互いにカバーしあって剣で叩き落とし無事に切り抜ける。
「う〜ん、アンサツには慣れてるけど最近多いよなあ。」
「王位継承者に生まれたからには生活の一部だと思ってるけどちょっと多いよね〜」
「それにしてもちょっとおかしいよな」
「うん、僕と兄上が一緒に狙われるって…」
王位継承権が第一位の兄を亡き者にすれば、弟の支持者達が利を得る。
ゆえに兄のほうがより狙われることが多い。
しかし兄の支持者にも過激な考えを持つ者もけっこういて、なかなか弟もアンサツ慣れしている。
しかし、二人とも亡き者にしようというのは、何が目的だろうか。
「僕ら二人共いなくなって得するのって誰だろう。」
「あるいはオレ達二人ともいると邪魔な者」
そんなおり国王に呼ばれたゆえ参上してみると、国王と共に待っていたのは、かなり高齢だが頑健でステキな女性。われらが大叔母様だった。そしてその後に控える二人。
「腕の立つ従者を付けるべきと思って、叔母様の高位の弟子の中から二人選んでもらった。」
「ケンちゃんもウォンちゃんも強いから護衛なんか不要と思ってるかもしれないけど、ここ最近はアレだし、助っ人がいたほうがいいでしょう。ワンとツウを紹介するよ。」
「叔母様のトップ1、2のお弟子ですか」
「不要なんてとんでもない。頼りになりそうですねありがたい」
「いや名前が、王(ワン)と津宇(ツウ)」
「…」
東国系の血筋だったら一般的な名だった。しかしこのシュチュエーションじゃ、そう思うだろ!
大叔母様の影に隠れるように控えていた二人は、動きやすく中性的な服装をしていたが、進み出て顔を上げると女性だった。
腕が立つなら男女差別などする気はないがしかしこれは…顔を曇らせる王子二人。
大叔母様はちょっと態度が気になったのか
「女性だからって、低く見るんじゃないよ。腕が立つから大丈夫。」
いやそこじゃない。
なんかそこじゃなくてその。
二人とも王子達のお祖母様というほどの年齢だった。考えてみれば大叔母様がこれだけのご高齢ということは、早くに師事した高位の弟子もこういう年齢なのが必然といえば当然。
えーと、いろいろ、なんていうか、やりにくい〜。
王子二人に「女性の」護衛が付いたという件は、瞬く間に王宮内に広がった。
似顔絵画などなく言葉だけの情報ゆえ「女性の」というところばかりが注視されてしまい、とくに王子のファンの若い女の子達のあいだでの噂は、あらぬ嫉妬や妄想により盛られたり歪められたり先走ったり爆走暴走しまくってドカドカと事実と離れまくってゆく。
かわいらしい新米メイドのミドリとモモのところにも当然その情報は届いていた。
「20代半ばのセクシー美女とか…」
「18才の天才美少女剣士とか…」
「いろんな噂が飛んでるけどできるだけ直接見た人の意見を参考に」
「事実の通り言ってくれそうな年配者や真面目なタイプの人の言葉を重視して」
さすが王宮内諜報組織「UWASA」のメンバー(2人だけの組織だけど)を自認するだけあって、護衛というのが高齢女性であるらしいと突き止めていた。
そんな情報収集の過程でとある少年と知り合った。なんとウォンロー王子のことをウォンロー君なんて呼んでるのである。クラスメイトということだった。
「僕、すごく地味で目立たないのによく存在に気がついて話を聞いてみようと思ったね。」
情報収集が趣味なので「情報君」と呼ばれていて、非公式にあくまで友達として、ウォンロー君のために情報収集をしてるという。
「二人とも僕に声をかけるなんて目の付け所がいいよ。情報収集の才能あると思う。一緒に一連のアンサツの黒幕を捜してみない?」
「えっ」「ええーっ」
情報君の父親は、王宮内で様々な情報の記録や整理をする仕事をしていて、彼は現在そのアシスタントをしているとのこと。
「すごーい将来は本物の諜報員ね」
「そうなれたらいいね」
「でも私達にそんな本格的な諜報活動のお手伝いなんてできるのかなあ」
「少しでも僕の知らない情報があったらありがたいんだ。今回の件で万一の事態になれば国の大切な王子が失われるけど、僕にとってはそれは友達でもあるんだ」
たしかにそんな事になったら悲しい。
情報君は静かで地味で、表情には感情が見えないけど、きっと必死なんだろう。
さて、王子二人は重要なパーティーに招待されて出席していた。ケンドリック王子の側には優しげなワンが付添い、ウォンロー王子の側には気のききそうなツウが付き添っている。
二人とも高齢女性で誰もがそれを見て、世話係のばあやが付いたのだとばかり思い、護衛だとは思わなかった。
周囲はヒソヒソと…
「王子様達もそろそろ年頃だから、へんな虫がつかないように監視の意味もあるんじゃないかしら?」
「不適切な女が近づいたら、追っ払ったり、即、国王様に報告ってわけ」
「それにしても美女と美少女のスゴ腕の護衛が見当たらないけど」
「隠れてて、いざというとき飛び出してくるんでしょう」
「ああ、そうね。活劇芝居や英雄小説でもたいていそうだものね〜」
「そうか、その美人護衛がついたから、恋愛関係など起きないように、ばあやも監視につけたんじゃないの?」
「なるほど、それで急にお世話係がついたのね。辻褄があいますわね」
というわけでみんなが納得したので、そういうことになってると噂が広まり、みんながそう言ってるので正しいということになり、噂が巡って王子達の耳にも入る。
「兄上〜僕達セクシー美女とかに護衛されてるらしいよ」
「…うん…『みんなが言ってる』からそうなんだろうね〜」
王子二人は、みんなが言ってるなんて真に受けるもんじゃないよね、って顔で目を見合わせる。
まあなにはともあれ、この高齢女性の護衛はたしかに頼れる存在だった。
今回のパーティーは食べる事が避けられない。
西方の国からの重要な客人が主催した、その国の菓子を紹介するもので、大規模な貿易に繋がる事が期待されている。まず王侯貴族の若者達を招待して多くの種類の菓子を食してもらい、評判の良かったものを選んで一般庶民にも試食会を開くという事になっている。
ワンとツゥは、並んだ様々の菓子から王子達が食べてみたいというものを運んで渡しているが、運びながら色や匂いを確かめ、周囲に気づかれないようそっと銀の針を刺して毒物検査をしてから渡してくれている。銀は全ての毒に反応するというわけではないが、まあまずこれで安全と言っていい。
今までの経緯からは、毒を使用してしかけてくるという可能性は低いが、ありえなくはない。武道の護衛だけでなく、こういった部分でもガードがあるのは心強い。
主催者の女性が「ぜひ王子様方に食べていただきたい」と、特別な菓子を持ってきた。
王子二人に緊張が走る。
もちろん毒など関係ない可能性が高いので、大切な客人に失礼のないよう注意しなければならない。が、万一の場合にも対処しなければならない。
ツゥが菓子を受け取りつつ客人に声をかける「まあなんとお若くて美しい方でしょう。やり手の事業家と聞いていましたから、堅そうな恐い方を想像してましたわ。」
客人の顔が菓子からそれたわずかの隙に銀の針を刺してチェックする。さすがだ。
「あら若くありませんわ。3人の子供たちがいて、みなとっくに結婚してますの。」
えっ
気をそらすためのツゥのセリフだったが、その返答にマジでみなびっくりした。
たしかに若くはないが、華やかで美しい。渦巻く茶色の巻き毛がさらに華やかさを引き立てて似合っており、スタイルもとても良い。せいぜい成人前の子供がいる程度の年齢にしか見えない。
その西国の美しい方は、王子達はじめパーティに参加している若い貴族達が皆、西の国々の共通語を話してくれるのにたいそう感心していた。
ケン王子が説明する。
「ここイワデス国は、イワデス語が母国語ですが、西の国々と東の国々の堺にあります。王族貴族や商人などはどちら側の国とも接する機会が多々ありますゆえ、たいてい西の共通語と東の共通語を習っております。」
「ビジネスで訪れた私にはとても有り難いことですわ。食べた菓子の感想を聞くのに全部いちいち通訳が必要では大変ですもの」
彼女は、王子二人とぜひ親しくなりたい様子だが、話題は仕事や子供たちの事。商売とそして子供達の未来のために、人脈を広げたいという印象だ。
今まで自分から近づいてくる人間と言ったら、どす黒灰色の下心まんまんのやつが多かったゆえ、キッパリ商売の人脈づくりというのは、クリーンで好感が持てた。
西国の習慣の『握手』を求められ、もちろん快く応じた。
パーティー会場の片隅からそれを見ている可愛いメイドの二人がいた。
ミドリとモモだ。
「メイド達全員に向けて、パーティーの手伝い希望の募集があったから参加したけど」
「とくにこれといった情報はなさそうねえ」
「でも情報君が、諜報活動だなんて思わず、気楽に見聞きしたこと何でも教えてって言ってたでしょ」
「うん。手伝い分ちゃんとお手当が出るし、何もなくても損は無いもんね。気楽にいこう。」
ところでこの二人は本人たちはあまり自覚がないが会場の中でかなり目立っていた。
二人の着ているピンクの可愛いメイド服は実は、王宮では新米の間だけ着ると言うか着せられるもので、これを見たら分からないことがないか困ってないか気を付けてあげよう、失敗してもちょっと大目にみてあげよう、という着る初心者マークのようなものだった。
しかしこのパーティーではこれを着ているのはこの二人だけ。
王宮以外から参加した貴族の若者はそんな事情を知らない者も多い、ゆえに可愛い子が特別コンパニオンとして参加してるのかと思って、数人の若者がちょっかいをかけてきた。
「ねえねえあっちの席に一緒に座ろう」「仲良く話そうよ」
少女たちはただ一生懸命に、皿を運んだり飲み物を運んだりしていたのに、そんなことを言われてオロオロ。
急に肩に手をかけられ… 急に手を引かれ…
枚数の多い皿や、盆にのった飲み物を運ぶというのは、かなりバランス感覚が必要な作業である。不用意にそんなことをされたら。
「あっ」「あっ」
次の瞬間、ガシャアアアアアアン
と
音が響いて皿やグラスの破片が飛び、
散らなかった
なんと王子二人が、とてつもない素早さでとんできて、全ての皿とグラスを床に落ちる前に受け止めていた。
落とさないようにそっと立ち上がり、ひとつひとつ静かにテーブルの上に置いてゆく。
ただ黙って自席に戻り、菓子を食べるに戻った。
貴族の若者達はなんとなく気まずくなったのか、離れていった。
「お、王子様達にお礼を言うべきなのかしら」
「でも席の近くに行って話しかけたら図々しいんじゃないかなあ」
少女二人が戸惑っていると、王子のお付きのばあやが杖を付きつつやって来て
「ただ、パーティーの雰囲気が台無しにならなくて良かった、と言ってらっしゃいます。何も気にしなくて大丈夫ですよ。」
そう言って優しく笑ってくれた。
やっぱり王子様達大好き、と思うミドリとモモだった。何か役に立つ情報を見つけて、助けになれたらいいなあ。
そのパーティー会場は、王宮からは馬を使うほどの距離でもなかったので王子達とばあや、じゃなくて護衛は歩いての往復だった。
そして帰路の途、商店街を通り抜けながらとうぜん周囲を警戒する。屋台が立ち並ぶエリアに入ると、いっそう警戒を強める。
固定の店と違って屋台は並べた品物の下などに武器を隠したり、飛び出して襲いかかりやすい。
この立ち並ぶ様々の品々のどこからか、もしやあちらこちらの複数方向から、不意に襲ってくるかもしれない。気を張り詰めながら歩く。
王子達がさりげなくワンとツゥの様子を見ていると、思った通り鍛錬のできた者のしっかりとした足取りで歩いている。本来は杖は不要なのだろう、とすると、一見して武器を持ってないが、これは剣が隠されている仕込み杖に違いない。
と、
ざっ
動きがあった!
全部の屋台から。
どわわわわわーっと。飴屋が布屋が食器屋が乾物屋がアクセサリー屋がお面屋が占い屋が… 剣を手に手に手に襲いかかる。
さすがに強ツヨの王子達も焦った。
「屋台ストリート全部ヤバい奴ら御一行様の貸し切りかよー」
ソッコー剣を抜いて戦う王子二人。
護衛二人は杖を放り捨てる。
「え?」「え?」
ワンがサッと懐から取り出したその武器は、しゃもじ!だった。
それで受けて払って叩きのめして敵を倒しまくってゆく。普通のしゃもじより大きいし、木などではなく丈夫な素材なのだろうが。なぜしゃもじ?
じゃあ杖は完全にフェイク?
ツゥも華麗な身のこなしで、迫り来る敵をいなしたり急所を突いて戦闘不能にしたり、素手でも十分強いが、いよいよ懐から武器を取り出す。ワンがしゃもじなら次はお玉かと思ったが違った。
それは美しい装飾の施された筒状のもの、おそらく万華鏡…え、それ武器かい。
だがくるりとひとふりすると7色の光の円板が生み出され、襲い来る剣を弾き飛ばす。
もしやまさか伝説の武器、零元宝級芸術品?
東国では霊的美宝工芸品と呼ばれ、西国ではたしかアーティーファクトとか呼ばれている。
その武器を持つ手で防戦しながら、もう片方の手で素早く印を結ぶ動作を行うと、7色の光の輪がその芸術品から幾十も生み出されシャッと手を差し出す動作でドドドド、光の波となって押し出され多くの敵を一気になぎ倒す。
この攻撃は…巫女のメイメイの零波を使ったそれと同じ類のものではないか。だが格段に強力だ。
武道の高スキルに加えて零波使いって、ツゥさんいったい何者?
などとツゥのほうに気を取られていたら、ワンさんの周囲で異変が起きていた。
しゃもじを前に、剣を構えたきり振り下ろす事もできず立ち尽くした男が、がっくりと膝をつく。「たんとお食べと、でかいしゃもじで丼にご飯を盛ってくれた婆ちゃんを思い出すじゃねえか。ちくしょう。」
他にもあちこちで顔を手でおおったり、涙してる者もいる。「死んだばあちゃんの優しい笑顔がちらついて…」「故郷に残して来た年老いた母親…ううう」
なんと優しいお婆ちゃんとしゃもじの組み合わせが、刺客たちの戦意を喪失させる心理攻撃になっていたのだ。
恐るべし、ワンさんツゥさん。
そうしてしっかり護られて、王子達は無事に王宮に帰ることができた。
別の国務で出かけていた国王と王妃がもどると、王子達はパーティーの様子を報告した。
主催者から受け取った名刺を差し出すと
「まあ大福様が、自らいらしたのですか。私もお会いしたかった」と興奮して目を輝かせたのは王妃、すなわち西国から嫁いだ母だった。
大福様?名刺には『T.D.モーティ』と記されているし大福なんてイメージとは程遠い綺麗な方だった。
「ミドルネームのDがDAIHUKUの略で、遠い先祖に東の国の方がいて伝わってるそうです。印象的な名なので、誰もがフルネームを聞いても名や姓よりも、大福というミドルネームのほうを覚えてしまいます。西の国々では、凄いビジネスグループの総裁としてもう父親の代から超有名な名なのですよ。」
なんと…
だがそんなことを言ってる母も、西の国々一番の大国で一番美しい姫と言われた人だった。
もしかするとこんな小国のイワデス国にそんな凄い方がビジネスを持ちかけたのも、この母が嫁いだ国ゆえ興味を持ったのかもしれない。
もともとイワデス国は貧しい小国だった。それが母を王妃に迎えてのち、新しい様々なビジネスチャンスが訪れ、どんどん豊かになっていった。
王子二人は「凄い凄い」「ほんとに凄いですね」と相槌を打っていたが、それは大福様だけでなく、母にも、そして母を王妃としてゲットした父への言葉でもあった。
国王は、国王執務室で忙しく王宮内の書類の処理に追われていたが、ふと手を休めて深呼吸をした。しばし、疲れた目を休めるために目を閉じる。
王子達が、生まれて育ってきた様子が、ふわりと懐かしく瞼によみがえる。
元気に生まれ育ってくれて嬉しかった反面、王子二人というのは、成長すればいずれ王位を巡る対立が起きる懸念もあった。
それはどこの国でも、そして歴史上のあらゆる時の間に間に起こって来た。むしろ起こるのが当然と言ってもいいほどのことで、どちらかの王子が命を失うことも珍しくない。
だが、わが国の王子達は他愛のない喧嘩はよくするものの、深刻な王位争いなどの対立は無い。
なぜなのかは国王にもわからなかった。
「わからないが、とても恵まれてる。なんと有り難い事か。何か理由があるのなら、それに感謝する。本当に本当に有難うございます。」
誰も見ていない執務室で独り、国王は何かわからない見えないそれに向かって、深く深く頭を下げて手をあわせた。
― ②に続く ―
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