もっと自己紹介
創作垢の倉庫です。くのん・ゆの蛹で呟いた140字小説とか色々貼り付けておきます。
気が向いたら更新するので、またどうぞ(笑)
家の中はシンとした暗闇だった。
灯りをつけると、弟が小走りでリビングに向かった。小さな手に何かを握って戻ってくる。
「お姉ちゃん、これ」
差し出したのは紙幣とメモだ。
メモに腹が立つ。私はそれを握り潰してゴミ箱に投げつけた。
「行くよ、美味しいご飯食べさせたげる」
真っ暗な水へ落ちていく。
沈む、この身体も気持ちも命も全部。
...あぁなんだ。こんなものか。
手足はふわりと水に絡まり、けれど重たくなった服は下へ下へ僕の身体を誘っていく。
水底には明るい光。
腕を伸ばせば水音がした。
白いため息、僕は月を仰ぎ見る。
心のピースが足りない。
かき集めても埋まらない。
どこに落とした?
なにを捨てた?
欠けて小さく軽くなった心に明日はなにをつめてみよう。
母が、母の兄の墓参りに行ったその日、僕は自分の働く店である女性の名前を見つけた。それは母の亡くなった兄の奥さんだ。
長く疎遠になっている人で近況も知らない。
仕事だからと連絡を入れてみる。彼女は僕の声に気付くだろうか。
自分の子になっていたかもしれない男の声を。