もっと自己紹介
諸君 私は原稿が好きだ
諸君 私は原稿が好きだ
諸君 私は原稿が大好きだ
個人誌が好きだ
合同誌が好きだ
アンソロジーが好きだ
記念誌が好きだ
考察誌が好きだ
情報誌が好きだ
漫画誌が好きだ
小説誌が好きだ
再録誌が好きだ
自室で 満喫で
ホテルで 書斎で
職場で 通勤列車で
教室で 部室で
リビングで ベッドで
この地上で行われるありとあらゆる原稿行動が大好きだ
戦列をならべた両手五指の一斉タイピングが快音と共に文章を紡ぎ出すのが好きだ
無我夢中で書き綴った文章がテンプレートに落とし込んで100ページを超えた時など心がおどる
絵描きの操るWacom One 13 DTC133W1Dがイラストを描画するのが好きだ
髪の毛1本1本まで繊細に描画された線画が印刷に美しく乗った時など胸がすくような気持ちだった
使用頻度の高いブラシをそろえたショートカットの横隊が白紙の原稿を蹂躙するのが好きだ
恐慌状態の執筆者が既に描き終えたページを何度も何度も手直ししている様など感動すら覚える
進捗状況の報告をツイートのツリー上に吊るし上げていく様などはもうたまらない
完成した原稿が私の下ろした指先とともに有象無象が跋扈するTLにばたばたと割り込んでいくのも最高だ
哀れなボツ原稿たちが雑多なネタで健気にも立ち上がってきたのをマウスポインタがフォルダごと木端微塵に消去した時など絶頂すら覚える
パソコンのエラートラブルに滅茶苦茶にされるのが好きだ
必死に守るはずだった完成原稿が蹂躙され入稿用のデータが保存されず消えていく様はとてもとても悲しいものだ
草稿の物量に押し潰されて自壊するのが好きだ
立てすぎたフラグを回収しきれず、害虫の様に地べたを這い回るのは屈辱の極みだ
諸君 私は原稿を地獄の様な原稿を望んでいる
諸君 私に付き従う大隊戦友諸君
君達は一体何を望んでいる？
更なる原稿を望むか？
情け容赦のない糞の様な原稿を望むか？
切磋琢磨の限りを尽くし三千世界のオタクに刺さる嵐の様な作品を望むか？
『原稿！原稿！原稿！』
よろしい ならば原稿だ
我々は満身の力をこめて今まさに振り降ろさんとするペンだ
だがこの暗い闇の底で半世紀もの間堪え続けてきた我々にただの原稿ではもはや足りない！！
大原稿を！！
一心不乱の大原稿を！！
我らはわずかに一個大隊 千人に満たぬ敗残兵に過ぎない
だが諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している
ならば我らは諸君と私で総力100万と1人の軍集団となる
我々を忘却の彼方へと追いやり眠りこけている連中を叩き起こそう
髪の毛をつかんで引きずり降ろし眼を開けさせ思い出させよう
連中に悦楽の味を思い出させてやる
連中に我々の作品の妙を思い出させてやる
天と地のはざまには奴らの哲学では思いもよらない事があることを思い出させてやる
一千人の変質者の原稿団で世界を萌やし尽くしてやる
そうだ あれが待ちに望んだコミケの光だ
私は諸君らを約束通り連れて帰ったぞ あの懐かしの戦場へ あの懐かしの脱稿へ
そして夜行バスはついに新宿を渡りビッグサイトへと登る
ミレニアム原稿大隊各員に伝達 大隊長命令である
さぁ 諸君
地 獄 を 創 る ぞ
